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写意画・無根樹100首-第4首#340

写意画・無根樹100首-首外第4首#365– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

 無根樹の詩には、天地との調和、陰陽の循環、無限の可能性を秘めた「根源的な力」が表現されています。
 この絵は、中国の武当山に代々伝統的に伝わってきた、符図として観念を写意した写意画で、行気(ぎょうき=気の流れ)によって、観念化された意が画面に宿る技法にて描きます。
座る人物が符図を掲げ、気の流れとともに描かれた写意画。道(タオ)の世界を象徴する霊的な図像が、観る者の心に響き、天地との調和と精神的な静けさをもたらす。 道(タオ)の世界には、「符図(ふず)」と呼ばれる霊的・象徴的な図像があります。
 これは一種の呪符でありながらも、単なる宗教道具にとどまらず、写意的に描かれた霊的絵画で、観る者の精神面に直接働きかける精神感応的な美術としての力を持っています。
 そのため、古来より多くの人々が、不老長寿、健康、吉祥、家庭の調和などを願い、こうした道家的写意画や符図を自宅や書斎、寝室に飾ってきたのです。絵を見ることは、単に美を愛でるのではなく、生活に「道」の気配を招き入れ、心身を調律するための行いとされていました。
 このように写意画は、単なる絵画表現にとどまらず、人の精神・生活・宇宙との調和を媒介する芸術です。
 この写意画は、「目で見るもの」ではなく「心で感じるもの」です。
 それは道(タオ)と通じ、自然の気と共鳴し、観る者の内面を静かに動かす力を持ちます。
 符図や写意画は、古より今に至るまで、”人の魂に語りかける「霊なる絵」”として息づいているのです。
 下記にこの写意画の意となる「哲理詩」無根樹の原文と、現代日本語訳とその解釈を添えておきましたので、是非お読みください。
 ※無根樹の作者「張三丰(1247年〜?)」は、太極拳を確立した人物としても有名で、太極拳にもこの無根樹を適用しました。補足として、武当山に伝わってきた太極拳との関連解釈も記載しておきました。

無根樹・首外第4首

写意画・無根樹100首-首外第4首#365– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

原文

無根樹,花正紫,琉璃寶塔在雲端。龍門閣,雲霧繞,九天之上,氣勢壯。

現代日本語

根のない木に、紫の花が咲く。瑠璃の宝塔は雲の上に聳え、龍門の楼閣には雲霧がたなびく。九天の高みより、気は壮大に満ちている。

解釈

この詩は、「天上の理想境と霊的上昇」を象徴しています。紫の花は神秘や高貴、霊性を意味し、雲上に浮かぶ宝塔は悟りや到達の象徴です。【1】無根樹,花正紫(むこんじゅ はなまさにむらさき) 根を持たぬ木に咲く紫の花は、地上の執着を離れた精神の高貴さや深遠な理を象徴します。【2】琉璃寶塔在雲端(るりのほうとう くもたなにあり) 澄みきった瑠璃の塔が雲の上に立つ様子は、心が清明であり、霊的に高い境地に達した状態を描きます。【3】龍門閣,雲霧繞(りゅうもんかく うんむまとう) 龍門の塔は、仙境の入口であり、修練の成果が試される場所。そこに雲霧が立ち込める様子は神秘性と試練を表します。【4】九天之上,氣勢壯(きゅうてんのうえ きせいさかん) 天界の頂きに至れば、気の力が雄大に広がり、万物を動かす力に通じます。

太極拳との関連解釈

首外第4首は、太極拳の「霊的高揚と気の統一された拡がり」をよく表しています。【1】無根樹,花正紫:内的高貴さと浮遊性 太極拳の理想は、地に縛られぬ心と身体。紫の花は、見えない根=無為自然の力を信じる姿勢を示します。【2】琉璃寶塔在雲端:心の透明さと到達点 修練の積み重ねで、気は昇華し、霊的に高い次元に至る。雲上の宝塔は、静かに力を蓄えた者だけが到達できる境地。【3】龍門閣,雲霧繞:試練と変化の中で 練功は雲のように、道は霧に包まれて見えにくい。しかし、無為自然の勢いで明らかになる。【4】九天之上,氣勢壯:全身に満ちる真の力 太極拳の最終段階では、天地を貫く気が自然に流れ、身心ともに壮大な調和を得る。

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