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写意画・無根樹100首-第82首#330

写意画・無根樹100首-第82首#330– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

 無根樹の詩には、天地との調和、陰陽の循環、無限の可能性を秘めた「根源的な力」が表現されています。
 この絵は、中国の武当山に代々伝統的に伝わってきた、符図として観念を写意した写意画で、行気(ぎょうき=気の流れ)によって、観念化された意が画面に宿る技法にて描きます。
座る人物が符図を掲げ、気の流れとともに描かれた写意画。道(タオ)の世界を象徴する霊的な図像が、観る者の心に響き、天地との調和と精神的な静けさをもたらす。 道(タオ)の世界には、「符図(ふず)」と呼ばれる霊的・象徴的な図像があります。
 これは一種の呪符でありながらも、単なる宗教道具にとどまらず、写意的に描かれた霊的絵画で、観る者の精神面に直接働きかける精神感応的な美術としての力を持っています。
 そのため、古来より多くの人々が、不老長寿、健康、吉祥、家庭の調和などを願い、こうした道家的写意画や符図を自宅や書斎、寝室に飾ってきたのです。絵を見ることは、単に美を愛でるのではなく、生活に「道」の気配を招き入れ、心身を調律するための行いとされていました。
 このように写意画は、単なる絵画表現にとどまらず、人の精神・生活・宇宙との調和を媒介する芸術です。
 この写意画は、「目で見るもの」ではなく「心で感じるもの」です。
 それは道(タオ)と通じ、自然の気と共鳴し、観る者の内面を静かに動かす力を持ちます。
 符図や写意画は、古より今に至るまで、”人の魂に語りかける「霊なる絵」”として息づいているのです。
 下記にこの写意画の意となる「哲理詩」無根樹の原文と、現代日本語訳とその解釈を添えておきましたので、是非お読みください。
 ※無根樹の作者「張三丰(1247年〜?)」は、太極拳を確立した人物としても有名で、太極拳にもこの無根樹を適用しました。補足として、武当山に伝わってきた太極拳との関連解釈も記載しておきました。

無根樹・第82首

写意画・無根樹100首-第82首#330– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

原文

無根樹,花正發,氣定神清百病殺。陰陽調合心自靜,太極修身不言乏。

現代日本語

根のない木に、花は今まさに開いている。気が定まり、精神が清らかであれば、あらゆる病を退ける。陰陽が調和すれば、心は自然に静まる。太極の修養は尽きることなく、常に身を整える道である。

解釈

この詩は、「心身の調和による健康」と「治癒的効力」を語っています。無根樹に咲く花は、体の奥深くから気が湧き上がり、精神が澄んでいく様子を象徴しています。【1】無根樹,花正發(むこんじゅ はなまさにひらく)根を持たない木に咲く花は、自然界に逆らわぬ柔らかさと自由さの表象です。咲き始めるその瞬間には、内なる生命力が満ちていきます。【2】氣定神清百病殺(きさだまり しんきよらかにして ひゃくびょうをころす)気が整えば、精神も静まり澄んでいきます。これは気の安定が、健康の根本を整える力があることを表しています。【3】陰陽調合心自靜(いんようちょうごう こころおのずとしずまる)陰と陽のバランスが整えば、外部からの刺激に乱されることなく、心は自然と静寂を保てます。内外の調和が深い静けさを生むという道理です。【4】太極修身不言乏(たいきょくしゅうしん とぼしきをいわず)身心の修練には終わりがなく、尽きることがありません。それは日々の積み重ねが無限の豊かさをもたらす道であり、「貧しさ」や「足りなさ」とは無縁の境地です。

太極拳との関連解釈

第82首は、太極拳の「養生・修身・長寿」の力を明示しています。【1】無根樹,花正發:内なる気の開花太極拳を日々の中で実践することで、体の奥から気が立ち上り、心身の活力が花開くように芽生えます。【2】氣定神清百病殺:調気による病の予防と治癒呼吸と意を整え、気血の巡りを良くする太極拳は、免疫力の向上にもつながります。まさに「動く養生法」です。【3】陰陽調合心自靜:静功の極意柔と剛、内と外を統合する動きの中に心を落ち着ける術があり、太極拳の静中有動、動中有静の奥義に通じます。【4】太極修身不言乏:尽きることなき修養の道太極拳は一過性の技法ではなく、一生をかけて修め続ける修身の道です。練れば練るほど深まり、尽きることがありません。

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