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写意画・無根樹24章-補篇第4章#338

写意画・無根樹24章-第4章 #487– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

 無根樹の詩には、天地との調和、陰陽の循環、無限の可能性を秘めた「根源的な力」が表現されています。
 この絵は、中国の武当山に代々伝統的に伝わってきた、符図として観念を写意した写意画で、行気(ぎょうき=気の流れ)によって、観念化された意が画面に宿る技法にて描きます。
座る人物が符図を掲げ、気の流れとともに描かれた写意画。道(タオ)の世界を象徴する霊的な図像が、観る者の心に響き、天地との調和と精神的な静けさをもたらす。 道(タオ)の世界には、「符図(ふず)」と呼ばれる霊的・象徴的な図像があります。
 これは一種の呪符でありながらも、単なる宗教道具にとどまらず、写意的に描かれた霊的絵画で、観る者の精神面に直接働きかける精神感応的な美術としての力を持っています。
 そのため、古来より多くの人々が、不老長寿、健康、吉祥、家庭の調和などを願い、こうした道家的写意画や符図を自宅や書斎、寝室に飾ってきたのです。絵を見ることは、単に美を愛でるのではなく、生活に「道」の気配を招き入れ、心身を調律するための行いとされていました。
 このように写意画は、単なる絵画表現にとどまらず、人の精神・生活・宇宙との調和を媒介する芸術です。
 この写意画は、「目で見るもの」ではなく「心で感じるもの」です。
 それは道(タオ)と通じ、自然の気と共鳴し、観る者の内面を静かに動かす力を持ちます。
 符図や写意画は、古より今に至るまで、”人の魂に語りかける「霊なる絵」”として息づいているのです。
 下記にこの写意画の意となる「哲理詩」無根樹の原文と、現代日本語訳とその解釈を添えておきましたので、是非お読みください。
 ※無根樹の作者「張三丰(1247年〜?)」は、太極拳を確立した人物としても有名で、太極拳にもこの無根樹を適用しました。補足として、武当山に伝わってきた太極拳との関連解釈も記載しておきました。

無根樹・第4章

写意画・無根樹24章-第4章 #487– 道(タオ)の哲理詩に基づく写意画アート作品

原文

無根樹,花正孤,借問陰陽得類無?雌雞卵,難抱雛,背了陰陽造化爐。女子無夫爲怨女,男子無妻是曠夫。嘆迷徒,太摸糊,靜坐孤修氣轉枯。

現代日本語

根のない木に、今まさに孤独な花が咲いている。陰陽が揃わずして、本当に育つものはあるのか?雌鶏の卵では、雛を抱いて育てることが難しい。陰陽の理に背けば、「造化の炉」は働かない。夫のいない女性は恨みを抱き、妻のいない男性は孤独に陥る。迷える修養者よ、陰陽を無視して一人で坐しても、やがて気は枯れていく。

解釈

•陰陽の調和が必要:あらゆる生成には陰と陽、対の関係が必要。•一人修養の限界:閉じた修養には活性がなく、道を失いやすい。•男女の比喩は宇宙の構造の比喩:陰陽・受発・内外・虚実など、あらゆるバランスの象徴。

太極拳との関連解釈

•陰陽の対立と統合が太極拳の本質:開く・閉じる、攻め・守り、動・静のバランスを忘れると形骸化する。•独りよがりの稽古は危うい:相手の存在や力の流れを感じる稽古が必要。•「氣」は動いてこそ生きる:止まりすぎれば気は滞る。孤立した修練はエネルギーを枯渇させる。

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